今さら聞けない「ポストクッキー対策」について
CCIデータプランナーの森川です。
本コラムでは、2025年初頭に予定しているGoogle Chromeによるサードパーティクッキー廃止(2024年7月初旬)に対して、「今さら聞けないポストクッキー対策」と題して具体的な影響や押さえておくべきポイントを解説させていただきます。
※24年7月25日追記※
2024年7月22日に、Googleがサードパーティクッキー廃止を撤回するというリリースがされました。
【CCI解説記事】Google Chorme サードパーティクッキー廃止を撤回
上記を踏まえ、サードパーティクッキーの利用が制限される状態は変わらないため、発展的なデジタルマーケティング施策を見据えたポストクッキー対策の情報を発信できればと思います。
■目次
- Googleによる“サードパーティクッキー廃止”のスケジュール
- Cookieの利用制限に伴うデジタル広告施策への影響
- サードパーティクッキーに依存しないマーケティング施策の準備(Cookieレス対策)
- 最後に
◆Googleによる“サードパーティクッキー廃止”のスケジュール
近年、欧州のGDPRや米国カリフォルニア州のCCPA、日本の改正個人情報保護法といった個人のプライバシーを保護するための法律が強化されております。また、GoogleやAppleなどのブラウザ事業者側ではCookieをはじめとしたユーザーの追跡を防ぐ方法としてアンチトラッキングを行っております。
さらに、2025年に予定されているGoogle Chromeにおけるサードパーティクッキーの利用が限定された世界では、サードパーティクッキーがこれまでよりも機能しないCookieレス時代が訪れようとしております。
◆Cookieの利用制限に伴うデジタル広告施策への影響
サードパーティクッキーの制限・廃止により個人のデータプライバシーは保護される一方で、ユーザーのWEB上での行動が追跡できなくなる事により、クッキーを活用した従来のデジタルマーケティング施策を維持するのは非常に困難となっております。
<Cookie規制により影響を受ける広告施策>
①サードパーティCookieによるターゲティング配信
②複数のドメインや広告を経由したリーチ計測や経路分析
③複数のドメインや広告を経由したコンバージョンの計測
④機械学習による自動最適化
◆サードパーティクッキーに依存しないマーケティング施策の準備(Cookieレス対策)
クッキーレスによりユーザーの行動履歴を活用した広告配信やコンバージョン計測は難しくなる中で、クッキーレス時代の対策ソリューションを導入・活用することでサードパーティクッキーに依存しない新たなマーケティング施策を今の内から準備する必要があります。
●ターゲティング精度の担保:ファーストパーティデータの活用
ファーストパーティデータとは企業が独自に収集・計測したデータで、自社のWEBサイトやアプリから取得した顧客情報やECサイトでの購買履歴、オフライン上の来店データやアンケートデータなどを指します。
自社のユーザーに対しては、マーケティング活用における明示と許諾を得ることで、ファーストパーティデータを活用した広告配信や見込み顧客発掘に向けた分析などが可能となります。
別のコラムでファーストパーティーデータの特徴と活用事例を紹介しておりますのでご参考ください。
また、CCIではファーストパーティデータの有効性に注目し、デジタル広告配信における事業成果最大化を支援するアドレサブル広告を提供しております。
●コンバージョン欠損対策:コンバージョンAPIの導入
サードパーティクッキーの制限・廃止に伴い、欠損するコンバージョンデータの不足対策として、コンバージョンAPIを導入する企業が増えてきています。
コンバージョンAPIとは、従来の広告プラットフォーム側が発行するピクセルタグの代わりに広告主が持つ自社サーバーから広告プラットフォーム側の広告サーバーへ個人情報が特定されない形でハッシュ化加工をしてシグナルデータを送信する仕組みとなります。
クッキー廃止の制限を受けずに、デジタル広告におけるコンバージョンデータを引き続き計測することが可能です。
別のコラムでコンバージョンAPI(CAPI)をわかりやすく解説しておりますのでご参考ください。
●マーケティングデータの補完:セカンドパーティデータ
自社が保有するファーストパーティデータだけだとデータ数や粒度の関係でマーケティング活用をすることが難しい事業会社様には、購買データ、位置情報データ、テレビ視聴データ、アンケートパネルデータなどに代表されるセカンドパーティデータを収集してマーケティング活用することをおすすめします。
スマートフォンの普及が進んでいる現在では、スマートフォンのアプリを中心に様々な行動データを取得できる機会が増えております。加えてスマートフォンから取得したモバイル広告識別子(MAID)をマッチキーに活用することで、クッキーに依存することなく精度の高い広告配信やユーザー分析を行うことが可能です。
一般的にはパートナーシップ関係にある企業間での共有、あるいはデータの販売を通じてデータを取得をすることが多く、双方の合意に基づいてデータが活用されます。
別のコラムでセカンドパーティーデータを活用する意義を解説をしておりますのでご参考ください。
●広告効果分析の高度化:データクリーンルームの活用
データクリーンルーム(Data Clean Room)とは、広告プラットフォーマーが提供するクラウド環境を指します。企業が保有するファーストパーティデータ(会員情報、購買履歴、来店履歴、アンケートデータなど)と広告プラットフォーマーの広告ログデータをプライバシーに配慮をしたデータクリーンルーム環境内で連携することで、今まで出来なかった粒度で広告効果検証やターゲット分析をすることが可能です。
サードパーティークッキー廃止が後押しになり、従来のデジタルマーケティングのパフォーマンス低下が予想される中で、欠損するデータを補いつつ質と量が担保された高度な分析環境基盤としてデータクリーンルームは注目されております。
日本では2017年にGoogleがAds Data Hub (通称:ADH)をローンチして以降、各広告メガプラットフォーマーを中心に続々とデータクリーンルーム環境が提供されました。
別のコラムでは各社が提供するデータクリーンルームを詳細に解説しておりますので参考ください。
◆最後に
今回は「ポストクッキー対策」について一例をご紹介させていただきました。
遅くとも、2024年内に以下要点を整理して、早急なポストクッキー対策を準備する必要があります。
①クッキーレスの啓蒙
②現在実施をしているデジタル広告施策の”影響範囲”の整理
③現在実施をしているデジタル広告施策の”影響度”の整理
④現在リリースがされている対策サービスの精査と導入の検討
CCIではクッキーレスに対応したデータ統合支援・活用サービス Data Dig(データディグ)を提供しております。
ご興味のある方はぜひお問い合わせください!